親族間不動産売買と一般的な売買の違い!リスクと対策
親族間で不動産売買を検討されている方にとって、手続きや税金に関する疑問は尽きないでしょう。
特に、一般的な不動産売買との違いを明確に理解することは、円滑な取引を進める上で非常に重要です。
今回は、親族間売買と一般的な不動産売買の違いについて、価格設定、税金、住宅ローン審査といった具体的な観点から解説します。
親族間売買特有のリスクと対策、手続きの流れについても分かりやすくご紹介します。

親族間売買と一般的な不動産売買の違い
仲介手数料の違い
一般的な不動産売買では、売主と買主それぞれが不動産会社に仲介手数料を支払います。
一方、親族間売買では、不動産会社を介さずに取引を行うことが多いため、仲介手数料はかかりません。
ただし、売買手続きをスムーズに進めるために、不動産会社に相談・依頼する場合は、手数料が発生する場合があります。
この場合、一般的な不動産売買より低額になる可能性があります。
売買価格と税金の違い
一般的な不動産売買では、売買価格は市場価格を基に決定され、売主は譲渡所得税を、買主は不動産取得税を支払います。
親族間売買では、市場価格より低い価格で取引されるケースがあり、この場合、税務署から「みなし贈与」と判断される可能性があります。
「みなし贈与」と判断されると、売主は譲渡所得税に加えて贈与税を、買主は贈与税の申告が必要になる場合があります。
「みなし贈与」を避けるためには、売買価格を適正な価格に設定することが重要です。
適正価格の算出は、不動産鑑定士への依頼が有効です。
税制上の控除・特例の違い
一般的な不動産売買では、売主は「3,000万円の特別控除」や「10年超の居住用財産譲渡の軽減税率」などの税制上の優遇措置を受けられる可能性があります。
買主は「住宅借入金等特別控除」などの優遇措置を受けられます。
しかし、親族間売買では、これらの優遇措置が適用されない場合があります。
特に、直系尊属間や配偶者間の取引では、適用除外となるケースが多く見られます。
適用可否は、個々の状況によって異なるため、税理士に相談することが重要です。
住宅ローン審査の違い
一般的な不動産売買に比べて、親族間売買では住宅ローンの審査が厳しくなる傾向があります。
金融機関は、親族間売買を、資金の不正流用や税金逃れに利用されることを懸念しています。
そのため、審査基準が厳しく設定され、融資が断られる可能性も高くなります。
ローンを検討する場合は、金融機関に事前に親族間売買であることを伝え、審査基準について確認することが重要です。
親族間売買におけるリスクと対策
みなし贈与リスクと対策
親族間売買で最も大きなリスクは「みなし贈与」です。
これは、売買価格が市場価格を著しく下回ると、その差額が贈与とみなされることです。
贈与税の発生を避けるためには、適正な売買価格を設定することが不可欠です。
不動産鑑定士による価格査定を受け、税理士に相談することで、リスクを軽減できます。
過去の判例では、時価の80%を下回る取引が「みなし贈与」と判断されたケースもあります。
税金対策のポイント
親族間売買では、譲渡所得税、贈与税、不動産取得税など、複数の税金が絡む可能性があります。
税金対策としては、売買価格の適正化に加え、適用可能な税制上の控除や特例を最大限に活用することが重要です。
専門家である税理士に相談し、最適な税金対策を検討しましょう。
また、売買契約書に税金に関する事項を明確に記載しておくことも重要です。
契約書作成の重要性
親族間売買であっても、契約書の作成は必須です。
口約束ではトラブルが発生するリスクが高いため、売買条件、支払い方法、所有権移転時期など、全ての事項を明確に記載した契約書を作成しましょう。
契約書の作成は、弁護士や司法書士に依頼することで、法的にも安全な契約を締結できます。
親族間不動産売買の手続きの流れ
準備段階
まず、売買する不動産の現状を把握する必要があります。
登記簿謄本を取得し、所有権、抵当権、その他の権利関係を確認します。
次に、売買価格を決定します。
市場価格を参考に、みなし贈与にならないよう適正な価格を設定することが重要です。
最後に、売買契約書を作成します。
必要に応じて、弁護士や司法書士に相談しましょう。
契約締結
売主と買主が売買契約書の内容に合意したら、契約を締結します。
契約書には、売買価格、支払い方法、引き渡し時期、所有権移転時期など、重要な事項を漏れなく記載する必要があります。
契約締結後、買主は手付金を支払います。
決済と引渡し
買主は残代金を支払い、売主は不動産の所有権を移転します。
通常、決済と同時に、鍵の引渡し、所有権移転登記が行われます。
所有権移転登記は、司法書士に依頼するのが一般的です。
所有権移転登記
決済が完了したら、所有権移転登記の手続きを行います。
登記手続きには、司法書士に依頼するのが一般的です。
登記が完了することで、法的に所有権が買主に移転します。
親族間売買と不動産売買の違いを理解して円滑な取引を
親族間売買は、一般的な不動産売買と比べて、手続きが簡素化される反面、税金やローンの面で特有のリスクを伴います。
しかし、適切な準備と専門家の活用によって、これらのリスクを最小限に抑え、円滑な取引を進めることが可能です。
この記事で解説した内容を参考に、ご自身の状況に合った対応を行いましょう。
よくある質問
Q1. 親族間売買で、売買価格をどのように決定すれば良いですか?
A1. 売買価格は、市場価格を参考に、みなし贈与とならないよう適正な価格を設定する必要があります。
不動産鑑定士による査定を受けることをお勧めします。
Q2. 親族間売買で、税金に関する相談はどこにすれば良いですか?
A2. 税理士に相談することで、最適な税金対策を検討できます。
譲渡所得税、贈与税、不動産取得税など、複数の税金が絡む可能性があるため、専門家のアドバイスを受けることが重要です。
Q3. 親族間売買でトラブルになった場合、どうすれば良いですか?
A3. まずは、相手方と話し合い、解決を試みましょう。
話し合いがまとまらない場合は、弁護士に相談し、法的措置を検討する必要があります。
まとめ
親族間売買は、一般的な不動産売買と比べて手続きが簡素化される一方で、「みなし贈与」や住宅ローン審査の厳しさなど特有のリスクも存在します。
円滑な取引を行うためには、売買価格の適正化、税金対策、契約書の作成、そして専門家への相談が不可欠です。
これらの点を十分に理解し、適切な準備を進めることで、親族間の良好な関係を維持しながら、不動産売買を成功に導くことができるでしょう。
専門家への相談を積極的に行い、不明な点は解消してから手続きを進めることが重要です。